敬愛するいとこへ
自分には同い歳の男のいとこが奈良にいる。
奴も波乱万丈紆余曲折の人生故にこの歳になって今大学受験生をしている。
奴は男前だが、パーマをあてるためと変に髪を伸ばしており、現在容貌長州小力となってしまっている。
月に一回くらい電話するんやけど、今日がその月に一回の電話の日で電話してた。
・・・・・・・・・・・
「人生ってうまくいかんよな~」
「そうやな~うまくいかんよな~」
「お前も大変やな~」
「お前こそな~」
「まあ、せやからこそ人生って面白いねんって」
「そうやな~」
「幸せって何やろうな~」
「わからんわ~」
「せやな~」
「暇なんやったらいつでも遊びにこいや~」
「おういくわ~」
「鍋しようぜ~」
「男二人で鍋は熱いけどさみしいよな~」
「せやな~」
「女紹介してや~」
「まあそのうちな~」
「コンパしようぜ~、俺ら一緒に行ったことないしよ~」
「いとこってことネタにできるよな~それ~」
「鉄拳新しいの出るらしいで~」
「まじか~」
「俺らってええ歳こいて何してるんやろな~」
「まあええんちゃう、せやからこそ人生って面白いねんって」
「って、お前それ二回目やで~」
「やっぱ、ばれた?相変わらず鋭いな~お前」
「全くするどないわ」
「一緒におっちゃん二人、やんちゃしようぜ~」
・・・・・・・・・・・
という会話を永遠としてた。
この会話は或る切り口で言うと負け犬の遠吠えのように聞こえるが、
今の自分にはこれが負け犬の遠吠えであろうとなかろうとそれは関係なく、このいたたまれない気持ち・境遇を共感できる相手がいるということ自体が幸せやった。
身内にこんないい感じの敬愛するいとこがいることで自分の人生は豊かなものとなっていることは確かである。
いつか二人で南の島に住んで一緒にやんちゃしたいな~。
敬愛するいとこへ。
あんたを慕ういとこより。